2015-01-01から1年間の記事一覧

everywhere

この世界というか現実に生きる喜びを失った時に、それをどうやって思い出せばいいんだろう。退屈な日常をきらめかせるには何がいるんだろう。一瞬の完全なきらめきと出会って何かを捕まえるために旅に出る。その捕まえたはずの何かは次第に忘れられた日常に…

明確な形に魑魅魍魎が見える。悪霊が歩きゆく人々の背後でのたうち回っている。際限なく湧き出る人たちの欲望に悪霊が逆に取り殺されそうになっているのだ。私の掌の中にその残滓が落ちてきて、きらきらと燦めきを見せながらその霊体は消えて行く。……とかい…

そして、100年が過ぎた。 この言葉の中に私の想像する100年間が押し込められている。 今、この瞬間に陽が落ちてまた登る。時が過ぎ去り、私の部屋が砕け散っていく。 映画の早回しみたいに人々が高速で動いている。動きすぎてもはや線に見えている。空が真っ…

見ているもの

助手席で笑っている顔が思い出せる。手帳に書き込まれた可愛らしい顔だけのデフォルメされたキャラクターだとか、無駄にとってある旅行先のパンフレットだとか。失われてもまだ残っているものがあって、ひどく凄惨な気分になる。 失われることが必然だとして…

満たしておくれよ

急に日常生活を送れなくなってしまった人たち。 日常生活のまねごとをしてみても、あまりに同じにならないから。 笑える。あまりに心が動かないから。 友人が別人と入れ替わっているのだと彼女は僕に耳打ちしてくる。そして、自分を殺しにくるのだと彼女は叫…

美しいなにものか

あわの中にとけていく。わたしというなにものかが。 触れた指先で解けていく。わたしの構成要素を一つずつ分解されていく。 わたしは開かれる。 わたし『女』『少女ではない』『ボブカットより少し長めの』『艶めいてはいない黒髪』『表情豊かな』『心はひん…

叫べ

踏切で信号が赤く灯り遮断機が落ちる。車輪がブレーキの圧力に負け回転を止めるとき、からんからんと音がして電車が通りすぎる。空を仰ぐ。夕焼けの少し前の空はまだ青空を残していて、その真ん中を真っ二つに区切るようにクロワッサンを延々と繋げた形の飛…