2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

明確な形に魑魅魍魎が見える。悪霊が歩きゆく人々の背後でのたうち回っている。際限なく湧き出る人たちの欲望に悪霊が逆に取り殺されそうになっているのだ。私の掌の中にその残滓が落ちてきて、きらきらと燦めきを見せながらその霊体は消えて行く。……とかい…

そして、100年が過ぎた。 この言葉の中に私の想像する100年間が押し込められている。 今、この瞬間に陽が落ちてまた登る。時が過ぎ去り、私の部屋が砕け散っていく。 映画の早回しみたいに人々が高速で動いている。動きすぎてもはや線に見えている。空が真っ…

見ているもの

助手席で笑っている顔が思い出せる。手帳に書き込まれた可愛らしい顔だけのデフォルメされたキャラクターだとか、無駄にとってある旅行先のパンフレットだとか。失われてもまだ残っているものがあって、ひどく凄惨な気分になる。 失われることが必然だとして…